なでしこジャパン 輝きの時 W杯2015を振り返る 後編(決勝トーナメント)
決勝トーナメントに入ると、なでしこジャパンは、それまでとは違い、高い集中力とチーム力を向上させ、勝利をおさめていきます。このページでも引き続き、なでしこジャパンのW杯の軌跡をまとめています。
彼女たちはただ単に苦しみに耐えているのではない。彼女たちがひたむきなのは、つらい境遇を我慢しているわけでもなければ、誰かの命令にただ従っているからでもない。なでしこジャパンのひたむきさの源は、「私にはできる」と、自分を信じる心なのだ。
引用:なでしこ力(佐々木則夫)
新品価格 |
決勝トーナメント
1回戦オランダ戦(2-1で勝利)→速報
この試合は、久々に見るなでしこジャパンの会心の試合となりました。前半に今大会、右サイドバックに抜擢された有吉がミドルシュートで先制。後半にはW杯に間に合った岩渕が出場して、流れを引き寄せる活躍を見せます。岩渕がスルーして、阪口が決めたミドルシュートは、開催国のカナダが選ぶベストゴールとなっています。
前半の先制点に、連動からうまれた美しい後半の追加点と、理想的な展開を作ることができました。結局、この試合で採用した布陣が、なでしこのベスト布陣になります。
準々決勝オーストラリア戦(1-0で勝利)→速報
準々決勝の相手は、1回戦で優勝候補のブラジルを破って勢いに乗るオーストラリアになりました。この試合で輝きを見せたのは、岩渕真奈でした。
U-17女子ワールドカップでは、世界大会において日本人初のMVPに選出されたのが岩渕真奈でした(当時)。この時、FIFAの公式サイトでは、「天国から舞い降りた日本のマナ」と称された岩渕は、後半に投入されると、得意のドリブルでたびたびチャンスメーク。ついには、終盤でのCKからの決勝ゴールを決めて見せたのです。若い時からその才能は異彩を放っていましたが、日本代表で大きな結果を出した瞬間となりました。
準決勝イングランド戦(1-0で勝利)→速報
この試合は、連戦からの疲れもあって、なでしこジャパンは劣勢でした。そんな中でも、粘り強く守り、イングランドの得意のロングボールからのカウンターを、日本の守備陣は守り切りました。すると、最後のロスタイム、今大会で有名になったローラ・バセットのオウンゴールで日本が勝利します。
運が大きな要素と語られるゴールですが、後半の最後でもスタミナを持続できる川澄からの的確なクロス、大儀見の走りなどがもたらしたゴールでもあったのです。
安藤が再びカナダへ
決勝アメリカ戦(2-5で敗退)→速報
決勝戦のなでしこジャパンは、残念ながら力尽きたという表現が的確なのでしょうか? 確かに前半のうちに4失点を喫し、試合が決まったのは事実です。そのうち、最初の2点はセットプレー、続く2点はミスからの失点であり、悔やまれる点も多かったです。
しかし、そこから1点を返し、さらに2点目を返したなでしこジャパンは、最後まで諦めなかったのです。 思い返せばグループリーグの安藤の骨折で得たPKで始まったW杯。けがをした安藤は早々に、日本に帰国。しかし、決勝には再び安藤が呼び寄せられました。安藤を再び決勝でカナダに呼びたい…その思いが、チームのモチベーションとなり、彼女の代役である白い熊は象徴的なマスコットになりました。
アメリカ戦では、安藤が180㎝を超えるGK山根に少し照れながら、背負われて登場したシーンは、心温まるシーンでもありました。
最後は23人で……という、マスコミ受けするシチュエーションではありますが、そういったことは関係なく、感動的だったと思います。
試合は残念な結果に終わり、なでしこジャパンは最後の敗者となって、W杯を去ることになりました。しかし、彼女たちが見せた輝く姿は、多くの人に記憶され、語り継がれていくのではないかと思います。
☆なでしこジャパン 輝きの時 前編→こちら