準決勝を棄権した錦織 ふくらはぎの筋膜炎とは…? 解説者・佐藤武文氏の見解も掲載
ウィンブルドンの前哨戦となる芝の大会、ゲリー・ウェーバー・オープンで見事な戦いを続け、優勝に手がかかっていた錦織。しかし、残念がら、準々決勝で左足のふくらはぎを痛め、準決勝で途中棄権となってしまいました。
優勝のチャンスがあっただけに残念ですが、心配なのは6月29日に開幕するウィンブルドンへの影響です。このページでは、筋膜炎に関して調べています。
筋膜炎とは…?
筋肉や骨などを包み込んで、適切な位置に保管しているのが筋膜です。筋膜は白くて薄い膜になっています。筋膜に負荷がかかると、硬くなるなどして、筋肉の負傷につながることもあります。
激しい運動後の筋肉痛は、誰もが経験したことがあるもの。この時は、筋肉や筋膜が炎症を起こしています。この症状が重度になると、肉離れや関節の損傷につながっていくのです。つまり、筋膜炎は、筋肉痛から肉離れの一歩手前のことを言います。
筋膜炎になると、押すだけで痛みを感じたり、歩くだけでも痛みを感じることがあります。ウォーミングアップ不足の寒い時や、疲労の蓄積などで起きるのです。
筋膜炎になった場合、電気治療やマッサージを施したり、テーピングを巻いて治療します。ただ、場合によっては、マッサージなど温めることがマイナスになる場合もあるそうです。逆にアイシングが効果的なこともあります。
筋膜炎は症状などにもよりますが、歩くことはできても、痛みが引くまでに意外に時間がかかる場合もあります。ですので、無理をせず、治療に専念する方が良いようです。というのも、ふくらはぎにある腓腹筋とヒラメ筋という筋肉は、デリケートで、再発がしやすい部分だからです。
スポーツで酷使される下半身
多くのスポーツは、下半身から上半身に力を伝えることが重要になります。そのため、股関節、膝関節、足関節が連動することで、力の強い動きをします。
テニスに置いては、足、腰、肩、腕、指先のグリップへと力が伝わり、ボールを加速させます。この一連の動きは、股関節、膝関節、足関節を動かす筋肉・筋膜に負担をかけるのです。
この負担の箇所は、マラソンならば足裏、短距離ランナーはハムストリングスというように、場所が変わってきます。
テニスの場合、ふくらはぎで頻繁に肉離れが生じることがあります。そのため、ふくらはぎの肉離れは「テニスレッグ」と呼ばれることもあります。
錦織の場合は、テニスにおける最高レベルで戦っているので、ストレスも大きくなります。ですので、このけがは、うまく付き合わねばならないものです。
基本的には筋力と柔軟性を保つ努力…これは、ジョコビッチの本にありますが、食べ物の改善も効果的です(ジョコビッチは小麦粉にあるグルテン摂取を避けることで、極めて高い柔軟性を得ることに成功しています)。また、運動前の準備運動も大切になります。
GAORA解説者・佐藤武文氏の見解
ゲリー・ウェーバー・オープンの組み合わせでは、走らされる対戦相手との試合が多かった。特にダスティン・ブラウンはドロップショットを多用する。ドロップショットは前後への動きの中で、瞬発力が必要となる。そういう時に、ふくらはぎの筋力を使う。ウィンブルドンでは、錦織の状況をわかっている相手が、ドロップショットを多く使う可能性もあるので警戒が必要だ。
検査の結果は…
錦織は棄権後の会見で、「状況がわからないので多くは語れない」と話しています。また、大会前には、「芝では普段と違う動きが必要になり、身体にかかる負担が違ってくる」とも語っていました。今回の棄権は、ウィンブルドンに向けて、リスクを避けるための対応でした。
トレーナーは「ふくらはぎの筋膜炎」と所見を示しましたが、検査によっては、ウィンブルドンの欠場を余儀なくされる可能性がありそうです。ただ、本人は、「大きいけがではない」とも話しており、検査の結果が待たれる状況です。
追記:ドイツでの検査の結果、深刻な症状ではないと、判断が下されました。錦織は、ウィンブルドンに向けて、練習を再開するそうです。
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