世界女子カーリング選手権2015 日本代表・北海道銀行フォルティウス 今大会の軌跡&成績
世界女子カーリング選手権2015の日本代表・北海道銀行フォルティウスの戦いが終わりました。結果は6勝5敗と勝ち越し、最後は笑顔で終わることができました。「カーリングを日本に根付かせる大会にしたい」と大会前に語っていた小笠原選手。その第1歩となる素晴らしい大会にしてくれたように思います。これからも、カーリングの情報に力を入れて、みなさまにお伝えしていきます。
日本代表は北海道銀行フォルティウス
メンバーは近江谷杏菜(リード)、小野寺佳歩(セカンド)、吉村紗也香(サード)、小笠原歩(スキップ・フォース)の4人で構成されています。小笠原選手の盟友であり、昔から共にカーリングで戦ってきた船山弓枝選手は、産休のためメンバーからはずれました。小笠原選手が若いメンバーをひっぱっていく立場となりました。ちなみに、「フォルティウス」はラテン語で「もっと強く」を意味します。彼女たちは大会を通して、強くなれたのでしょうか…。
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近江谷杏菜(リード)
※近江谷は一番左。写真はチーム青森時代。現在はLS北見のキャプテン・本橋の姿も…。
リードはチームで1番最初に投げるセットアップが役目です。また、最初に投げるため、氷の状況がわからない中で投げなければなりません。リードの出来不出来で、戦略も変わってきます。時に深く息を吐きながら、プレッシャーと戦っている近江谷選手の姿が印象的でした。基本的に試合中はポーカーフェイスである彼女が笑顔を見せた時は、勝利が近づいている時でした。今大会は序盤戦は安定していましたが、中盤以降は波がありました。
小野寺佳歩(セカンド)
セカンドは2番目に投げることが役割です。テイクアウトショットといって、ハウス(サークルのこと)やハウスの前にあるガードストーンをテイクアウトすることが多くなります。小野寺選手は見事なダブルテイクアウト(ストーンを2つ出すこと)を何度も見せる大会となりました。大会の後半には苦手なドローショット(石を狙った位置に置くショット)も決まっていました。
吉村紗也香(サード)
サード(Vice-Skip)の選手は、最後に投げるスキップにつなぐ重要な役割を担っています。そのため、あらゆるショットに対応できなければなりません。サードが失敗すれば、プレッシャーがかかるスキップに、より難しいショットを打たせることになってしまいます。ですので、勝敗のカギを握るポジションです。スキップ経験が長い吉村選手は、小笠原選手に時にアドバイスもしながら、プレーしていました。また、時折見せる素晴らしいショットが光っていました。その一方で、ミスをして涙する場面もありました。彼女が活躍したスウェーデン戦、スコットランド戦などでは、強豪相手でも勝利しています。彼女の成長がチームのレベルをより上げていくのだと思います。そういう意味で、吉村選手にとっては喜びと辛さを味わった、経験を得た大会になったことでしょう。
小笠原歩(スキップ・フォース)
スキップ(フォース)は最後のストーンを投げる役割を担います。そのため、最もプレッシャーのかかる勝敗に直結するポジションです。どんなに先に3人のメンバーが良いプレーをしても、スキップがミスをすれば台無しになってしまう、そんなこともあるポジションです。また、その逆でスキップが良いショットを放てば、状況を逆転してチームを救うこともあります。ですので、技術、精神が共に長けていなければ勤まらないポジションです。
今大会は小笠原選手が活躍した多くの試合が勝ちにつながっています。一方で、ミスが出た試合は負けています。メンバーは全員が北海道出身。地元開催は後押しにもなり、プレッシャーにもなったことでしょう。しかし、大会の後半戦には会場が埋まり、日本代表を応援する声援が響きました。小笠原選手の語っていた「カーリングを日本に根付かせる」…その役割をはたしたように思います。大会最後のドイツ戦との第9エンドでは、見事なショットで1点を獲得。大会に花を添えました。
フジ ロイ ミキ(日本代表コーチ)
小笠原がカナダに渡って、コーチを頼んだ人物です。その熱意にうたれ、「最後の船出を君と歩みたい」とコーチを引き受けました。70歳を超えるカーリングの生き字引で、多くの経験を踏まえたアドバイスをします。選手の信頼も厚く、今大会もミキコーチのアドバイス後に、良いプレーを見せることもありました。
フジロイミキコーチとは→こちらをチェック!
世界女子カーリング選手権2015(予選リーグ)
1位:スイス(10勝1敗)
2位:カナダ(9勝2敗)
3位:ロシア(8勝3敗)
4位:スコットランド(7勝4敗)
5位:中国(7勝4敗)※両者のタイブレーカーは9-4でスコットランドが勝利
6位:日本(6勝5敗)
7位:スウェーデン(5勝6敗)
8位:デンマーク(4勝7敗)
8位:ドイツ(4勝7敗)
10位:アメリカ(3勝8敗)
11位:フィンランド(2勝9敗)
12位:ノルウェー(1勝10敗)
3月14日に開幕した世界選手権。日本は初日のスイス戦を3-5で落とします。この試合は小笠原選手の不調が目立ちました。2日目のスウェーデン戦は見事な戦いになります。序盤戦で調子が上がらないスウェーデンに対し、日本代表は安定したショットを見せ、6-5で勝利。ソチ五輪の銀メダル国を破る大金星をあげます。勢いにのった日本は、銅メダル国のスコットランドも9-7で撃破。3日目のノルウェー、フィンランドには苦しみながらも勝利します。この時点で4勝1敗と、決勝トーナメントが見える位置にありました。
しかし、中盤戦となる4日目のアメリカ戦に4-6で敗れ、痛い1敗になります。アメリカは全敗な上、この試合もミスが多かっただけに、残念な試合になりました。この試合でミスが目立った吉村は、試合後に思わず涙します。アメリカ戦の敗北で流れが悪くなった日本代表は、強豪のロシアにも不調で敗戦。
正念場となった5日目のデンマーク戦は、精神力が問われる1戦でした。小笠原の復調もあり7-4で勝利し、何とか踏みとどまります。しかし、アジアのライバルである中国に対し、小笠原のショットのミスも響き敗戦。決勝トーナメントの道が遠くなりました。
予選リーグ最終日には最強のカナダと対戦。世界的なカーリング選手、J・ジョーンズの見事なショットの前に5-8で敗れました。カナダとの試合は、世界との差をみせつけられる試合になりました。カナダは大きなミスがなく、ドローショットも確実に決めます。この時点で上位4位に入れずに、日本の予選敗退が決定します。
そして、最後の試合になったドイツ戦。ふっきれた日本代表は見事なショットを連発。終盤戦の不調が嘘のように得点を決めていきます。カーリングがいかにメンタルが影響するかを示す試合になりました。試合の方は10-5となり、ドイツが9エンド後にコンシード(ギブアップ)します。最後は胸のつかえをとる快勝で、大会を笑顔でしめることができました。
世界女子カーリング選手権2015の速報/スイス戦/スウェーデン戦/スコットランド戦/ノルウェー戦/フィンランド戦/アメリカ戦/ロシア戦/デンマーク戦/中国戦/カナダ戦/ドイツ戦
決勝
プレーオフ1位スイスVS2位カナダ
スイス6-4カナダ
プレーオフ3位ロシアVS4位スコットランド
ロシア7-2スコットランド
準決勝カナダVSロシア
カナダ7-4ロシア
3位決定戦スコットランドVSロシア
スコットランド4-13ロシア
決勝戦スイスVSカナダ
スイス5-3カナダ