3月13日19:56～放送 かぐや姫のものがたり なまけものの子孫・高畑監督とは…どんな人物なのか！？

3月13日、19：56分から日本テレビで『かぐや姫のものがたり』が放送されます。この作品はつい先日のアカデミー賞・長編アニメーション部門にノミネートされた作品です。

アニメーターの描く線を生かし、背景も動画のタッチで描かれ一体となるような演出のアニメーションにこだわり、8年の歳月がかかっています。製作費は50億円。そんな『かぐや姫のものがたり』を作った高畑監督とはいったい、どんな人物なのでしょうか？  宮崎駿監督いわく「なまけものの子孫」だそうです！

出典：http://www.gettyimages.co.jp 

高畑監督は東映動画に所属し、アニメーション制作を始めます。高畑監督はアニメーターではなく、演出家として作品を作っていきます（演出家はアニメを描かず、指示をしてアニメを構築していきます）。

この東映動画では、宮崎監督や大塚康生さん（ルパン、未来少年コナン）などの同僚に恵まれ、長編アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』では監督をつとめました。しかし、細部に徹底的にこだわる高畑監督は、とにかく作品作りが遅いため、製作費がふくらんでしまうのです。『太陽の王子 ホルスの大冒険』は製作がお幅に遅れて、大変なことになりました。そして、興行的にも大失敗に終わり、高畑監督や宮崎監督は東映動画をやめることになります。

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東映動画からAプロダクションに移ると『ルパン三世　第1シリーズ』なども制作し、後のトトロにつながる『パンダ・コパンダ』では監督も務めました。この頃から、子供のためにアニメを作るということがはっきりしてきたようです。

ただ、この頃、高畑監督、宮崎監督らが作るアニメは人気があまりありませんでした。

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そんな彼らが日の目を見るのが、現・日本アニメーションに移って製作した『アルプスの少女ハイジ』です。宮崎さんはこのアニメで「超人的な」製作能力でアニメを描きまくり、２０％の視聴率を叩きだす、初めて世間的に成功する作品を生み出します。監督の高畑さんの演出もさえわたりました。そのこだわりは、太陽の位置であったり、南向きに窓を設定したりという徹底的なものでした。宮崎さんは「世の中のすみっこでやっている気がしたのに、突然、世の中に出会った気がした」と語っています。高畑監督はこの後、日本名作劇場で『母をたずねて三千里』『赤毛のアン』を手掛けます。 （ちなみに、後に宮崎さんは『未来少年コナン』を製作しますが、パワーアップした宮崎さんの仕事ぶりに、先輩で一緒に仕事をすることになった大塚さんは「元から早くてうまいのに、高畑さんのところで構成なども覚えて、とんでもない化け物になっていた」と語っています）

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高畑さんはこの後、大阪の下町を描いた『じゃりン子チエ』で大成功をおさめます。この頃、鈴木敏夫プロデューサーとも出会っています。

一方、宮崎さんは『風の谷のナウシカ』のアニメ化の機会を得て、プロデューサーに高畑さんを指名。しかし、高畑さんは渋ります。時に大学ノート1冊に「自分はプロデューサーに向いていない理由」を書いて、拒絶する高畑さん。しかし、珍しく飲んで酔った宮崎さんが「俺は青春のすべてを高畑勲に捧げた。なのに、何も返してもらっていない！」と涙で鈴木さんに告げます。鈴木さんはその場で高畑さんのところに向かい「高畑さん、やっぱりプロデューサーをやってください！ 宮さんがやってほしいと言っているんですよ。宮さんはあなたの友達でしょう！ 友達が困っているのに、あなた、力かさないんですか！！」と、酔った勢いそのまま声を荒げます。

高畑監督はしばしの沈黙後「……わかりました、やりましょう」と答えました。

 

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まだスタジオもない中でのプロデューサー業でしたが、高畑さんの仕事ぶりは素晴らしく、『風の谷のナウシカ』も見事な成功をおさめます。ジブリの社長兼プロデューサーになった鈴木さんは、この高畑さんの仕事ぶりをかなり参考にしたと言います。

風の谷で成功した宮崎さんはその利益を投資して、今度は立場を変えて、高畑監督に実写映画の監督を任せます。『柳川掘割物語』という実写映画ですが、高畑さんはこの作品でも、資金を使い切り、製作がお幅に遅れてしまいます。そのため、資金繰りに困り、宮崎監督は『天空の城ラピュタ』を作り始めます。

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高畑さんはジブリでは、『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』という日常に重きを置く作品を作る姿勢がより一層明確になります。宮崎監督の大ヒット作『もののけ姫』には異議を申立て「こう着した作品」と物申し、自らは全く逆のほのぼのとした日常を描く『ホーホケキョ となりの山田くん』を製作。興行的にはジブリ史に残る大失敗に終わりましたが、日本テレビの故・氏家会長が大変気に入り、「金はいくらかかっても良いから、高畑さんにもう一度、作品を作ってほしい」と言われ「かぐや姫のものがたり」が作られることになりました。

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このような人が高畑さんなのです。常にこだわり、時間には無頓着。徹底的に良い作品を目指すため、予算を気にしない。『かぐや姫のものがたり』はそのため。8年もかかったわけです。鈴木さんも「意味不明」とまで嘆かせ、宮崎さんには「あんなに生産性の低い人はいない」「ナマケモノの子孫」と評価を受けてしまったわけです。

しかし、同僚だった大塚さんは二人を、江戸時代の浮世絵作家「葛飾北斎」「喜多川歌麿」に例えてます。また、鈴木さんはジブリを始めた理由を「宮崎・高畑に作品を作らせるため」であると語っています。