エースの帰還 広島 黒田博樹
黒田博樹が広島に復帰しました。
メジャーリーグのパドレスは1800万ドルの年棒オファーを出したと言われています。
しかし、黒田は高額オファーよりも、古巣・広島への思いを選んだのです。
この復帰劇は広島ファンだけでなく、野球ファンに大きな驚きを与えました。
広島は黒田が加わったことにより、前田健太とともにダブルエース体制となり、ペナントレースでも優勝の可能性が期待できるチームとなりました。
今回は、広島に帰還した黒田博樹に迫ります。
黒田博樹
大阪府大阪市出身の黒田博樹は父・一博が監督を務めるボーイズリーグで野球生活を始めます。父親の一博は南海ホークスなどで活躍したプロ野球選手でした。
黒田はその後、上宮高校で控え投手に甘んじますが、専修大学に進むとエースとなります。この時、神宮球場で大学生初の150キロを記録しました。
1996年、ドラフト逆指名2位で広島東洋カープに入団します。
1997年4月25日の巨人戦でデビュー。初先発・初勝利・初完投という見事なデビューを飾りました。この年、6勝9敗・防御率4,40でした。
1998年は2年目のジンクスからか1勝4敗・防御率は6,60。
1999年は好不調の波が激しく、5勝8敗・防御率は6,78。
2000年は9勝6敗・防御率4,31と、初めて勝ち越します。
2001年はオールスターに初出場。12勝8敗・防御率3.03。
2002年は10勝10敗・防御率は3.67。
2003年は開幕投手となり13勝9敗・防御率3.11。エースに成長しました。
2004年は自己最速の157キロを記録。7勝9敗・防御率4,65。
2005年は15勝12敗・防御率3.17。リーグ最多勝利をあげました。
2006年はＦＡ権を獲得。成績も素晴らしく、13勝6敗・防御率1.85で最優秀防御率のタイトルを獲得。
ＦＡ権を行使して他球団に行くか迷う黒田に対し、ファンが動いたのがこの年。
黒田は国内に関して生涯広島を誓いました。
〝「我々は共に闘って来た 今までもこれからも… 未来へ輝くその日まで 君が涙を流すなら 君の涙になってやる Carpのエース 黒田博樹」
（ファンが黒田への思いを巨大な横断幕にして掲げた。ファンが黒田の心を動かした瞬間だった）
出典：黒田博樹 - Wikipedia
〝「僕が他球団のユニフォームを着て、広島市民球場でカープのファン、カープの選手を相手にボールを投げるのが自分の中で想像がつかなかった」
〝「僕をここまでの投手に育ててくれたのはカープ。そのチームを相手に僕が目一杯ボールを投げる自信が正直なかった」
出典：黒田博樹 - Wikipedia
2007年は12勝8敗・防御率は3.56。開幕投手もつとめました。
オフにはＦＡを宣言し、メジャー挑戦を表明し、ドジャースに入団することが決まります。同時に、「日本に帰ってくるなら、カープしかない」と語っています。
2008年にメジャーデビュー。9勝10敗・防御率は3.73。
2009年は8勝7敗・防御率は3.76。野茂、松坂に次ぐ日本人3人目の開幕投手にも選ばれます。
2010年は11勝13敗・防御率は3.39。
2011年は援護に恵まれず13勝16敗・防御率は3.07。援護率が悪く負けが先行しましたが、黒田への評価は高まりました。このオフ、黒田はニューヨークヤンキースに移籍します。
クレイトン・カーショウ
出典：http://www.gettyimages.co.jp
黒田はドジャース時代・クレイトン・カーショウと仲が良かったといいます。カーショウはサイヤング賞を3度獲得しているメジャーリーグの代表的な投手です。
黒田が最終登板の時、233イニングを投げていたカーショウはキャッチボールを禁じられていました。しかし、移籍する黒田に対し、「いいんだ、ヒロが先発するんだから、僕がキャッチボールの相手をするのは当然だろう」とキャッチボールを続けたのです。また、最後のミーティングでも「ヒロに話しておきたい。ドジャースに来年も残ってほしいんだ」と伝え、黒田は感極まりロッカールームで涙したそうです。二人は互いに認め合った親友だったのです。
2012年は16勝11敗・防御率は3.32。シーズン中には2度の完封勝利をあげ、ジラルディ監督に「今季の投手陣で最高の内容だった」と称賛される試合もありました。
2013年には日米通算2000奪三振を達成。この年11勝13敗・防御率3.69。
2014年は11勝9敗・防御率は3.71でした。
以上のように非常に安定して故障が少ないのが黒田の特徴です。
四球が少なく、制球力が高いです。また、フォーク、スライダーはメジャーでも高い評価を受けています。もちろん、最速157キロを記録したストレートも大きな武器です。
黒田はＯＢからも極めて高い評価を受けています。
〝「調子がいい時の彼のストレートは、ど真ん中に放っても打たれない」（江川卓）
〝「今日（2006年7月2日、3安打完封）の黒田は俺が現役の時でも打てない。だからうちの選手が打てる訳がない」 （落合博満）
出典：黒田博樹 - Wikipedia
雪に耐えて梅花麗し
そんな黒田の座右の銘は『雪に耐えて梅花麗し』という西郷隆盛が甥に贈ったとされる漢詩の1節です。
意味は、梅の花は冷たく厳しい冬の雪の中でも花を咲かせます。梅の花は桜に比べ華やかさこそ劣りますが、麗しく凛とした花を咲かせるのです。黒田は苦しみの先にこそ、勝利があることをこの言葉に見出しているのではないでしょうか。
黒田の広島の復帰会見
〝「実際、広島に来る日まで、色々もやもやした気持ちもありました。自分の決断は正しかったのかと考えることもありました。広島に来てファンの人、色んな声を聞いてこれでよかったかなとそういう気持ちです」
〝「色々考えないといけないことはたくさんありましたけど、最後はファンの人たちというか、球団の熱意もありましたけど、2006年ですかね最初にFA権を取得したときに ファンの人たにち心を動かしてもらったので、今度は自分がファンの人たちの気持ちを動かせればという気持ちが一番大きかったです」
〝「最初にメジャー挑戦したときから。もしくは日本に帰ることがあれば、カープに帰ってきたいと思っていました。そういうことを口には言っていましたけど、気持ちがぶれないためにもメジャーで結果を出し続けたい。それが、今考えると自分の中でのモチベーションになっていたと思います。それくらいの気持ちにさせてくれるチームだと思いますし、今回僕と一緒に出て行った新井がカープに帰ってくる。球団としての懐の大きさというか、度量の大きさをまた改めて感じました。多少なりともカープに復帰する1つの要因になった」
〝「もう40歳ですし、皆さんが期待するほどのピッチングができるかどうかは、現時点ではそこまで自信は全くありません。その中で、もがき苦しみながらも、最後はカープのユニフォームを着て投げたいかなというのが一番です」
出典：8年ぶり日本球界復帰の広島・黒田博樹【入団会見全文】 （ベースボールキング） - Yahoo!ニュース
